ピースボート

ピースボートで海外に行くとトラブル続出の噂は事実!

ピースボートステーション
ピースボートというと、居酒屋に貼られるポスターのイメージが強いかと思います。最近のピースボートは、安く世界一周を実現できるので認知度もぐっと上がってきています。

ピースボートはNGOです。しかし、そんなピースボートのNGOとしての役割や活動についてはあまり知られていません。ピースボートのWEBサイトなどをみると、世界一周で訪れる観光名所についての情報は豊富ですぐに目につきます。しかし、観光以外でどのような旅を楽しむことができるのか、どのような冒険が繰り広げられているのかは、情報が少なく活動実体が想像ができません。

私はピースボートで寄港地をまわって驚愕したことがいくつもありました。ピースボートのサイトではあまり語られない噂の実態、寄港地でのびっくりエピソードを赤裸々にまとめてみました。

ピースボートだと「途上国」に行ってしまう!!

ツアー
船の上では、それぞれの寄港地に到着する前に、「寄港地説明会」というイベントを行っています。この「寄港地説明会」に出席することで、訪れる国の観光スポットや食文化について、あるいは現地での注意点など、基礎的な情報をある程度得ることができます。ただ、「寄港地説明会」は1000人近い乗客全体に向けての一般的な説明になります。個人的に興味のある観光地や特に知りたい情報については、自分で調べることになります

さて、そんな「寄港地説明会」のひとつで、中米の、とある国が紹介され、オススメされていました。その国とはベネズエラ(ヴェネズエラ)。ベネズエラについては知らない人が多く、会場に集まった人たちの最初の反応は「ベネズエラ??それってどこ?」でした。世界一周をするにあたって、ベネズエラを楽しみにしているという人はなかなかいません。

ベネズエラは経済の格差が大きく、お金持ちと貧困層との二極化が激しい国です。今は少しずつ安定してきていますが、昔は犯罪率もとても高かったようです。未だに政治的・経済的な混乱が頻繁に起こるため、一人旅では絶対に敬遠するような国です。そんなベネズエラが、ピースボートではなぜか「オススメの国」として紹介されました。

最初はオススメの意味がわからず正直「なぜ???」と思いましたが、ピースボートでベネズエラを訪れ、その意味がわかりました。

大歓迎のベネズエラ

ベネズエラに着いた日の夜、想像を絶するほど大々的なフェスティバルが開催されました!!!ベネズエラの副大統領や、船が寄港したバルバドス市の市長、その他にも多くの政府機関のお偉いさんたちが集まるレベル感。もちろん現地に暮らす一般の人々もいますし、ベネズエラの「嵐」的な超有名アーティストも…!おそらく2000-3000名が集まっていたのではないかと。そこにピースボートの乗船者たち数百名が加わり、はちゃめちゃ&ごちゃごちゃの文化交流会が開催されたのです。この熱烈な歓迎ぶりでピースボート側の参加者は老若男女かなりの衝撃を受けたというのが事実でしょう。本当に驚愕でした。

寄港地が変わるトラブルも!?

寄港地
台風などの自然災害、あるいはエボラ出血熱や新型コロナウイルスなどの感染症など、世界の情勢が悪くなると、寄港地を抜港(寄港地に行かない)したり、大きく航路を変更したりすることがあります。毎クルーズ900名以上もの乗客が参加するわけですから、安全が確保できるという確証がない場合には、このような対策をとるようです。例えば過去にはベルギーに寄るクルーズがありました。しかし、出航前にベルギーでイスラム国によるテロがあったため、寄港地を変更するという措置がとられました。台風の場合は直撃しないように航路を変更し、迂回する場合もあります。台風に突っ込んでいくとかなりの高波の中を航海することになりますから、80代や90代の方が参加していることも考慮してのことのようです。

ただ、まれに寄港地が追加になる場合もあるようです。すでに航行中のピースボートに近くの国から連絡が来て、寄港地が増えるケースもあります。過去に具体的に追加になったことのある国はサウジアラビアです。サウジアラビアは観光ビザでは入国できない国です。行けた人にとってはラッキーな体験だったでしょうね。他には、国内ですが、仙台の石巻港が急遽寄港地として追加されたクルーズもありました。

寄港地での過ごし方が普通の旅行とは違うデメリット

自由行動
ピースボートで世界一周を考える人が気になるポイントの一つに、訪れる各国での過ごし方があると思います。船旅の場合は、訪れる国のことを「寄る港の地」と書いて「寄港地(きこうち)」と呼んでいます。「寄港地」の行動パターンには大きく三つの選択肢があります。

1)自由行動
2)オプションツアー
3)船を降りずに寄港地ではなく船内で過ごす

です。

口コミ~ピースボートクルーズでの自由旅行~

自由行動
ピースボートだけに言えた話でなないのですが、一般的なクルーズ旅行は、それぞれの寄港地での滞在時間が短く設定されています。クルーズの経験がない人が「こんな短くては観光なんてほぼできない!」と言っているのをよく聞きます。わたしもそう思っていました。たしかに、事実としてその国の観光地を全部まわることはできません。その国のことをすべて理解することもできません。しかし、クルーズ旅行の寄港地での滞在時間が短いのには理由があるのです。わたしも実際に参加してやっとわかりました。

飛行機旅行とは全然違う!ピースボートは移動のタイムロスがない!

飛行機で海外旅行をしたことあるという人は、思い出してみてください。飛行機が着陸してから実際に街に出られるまで、かなり時間がかかりますよね。飛行機がゲートまで移動し、飛行機を降り、荷物を受け取り、入国のための対面審査や税関でのチェックをうけて、やっと空港を出ることが出来ます。ここまでですでに1時間以上かかってしまいます。

さらに、空港は中心部から少し離れていることが多いですよね。空港から市街地の観光地を目指す場合、バスか電車で少なくとも50分~1時間ぐらいかかる国が多いと思います。空港は長い滑走路を設置するために何ヘクタールもの土地が必要です。また、離着陸の騒音があるので、人が住んでいる住宅地の近くではなく郊外に作らなければなりません。というわけで、建物が密集する都市部にはなかなか建てられにくく、結果として観光地からも離れて遠くなってしまうということなんでしょうね。

船旅だとこの辺りが違います。船の場合は、寄港地に着いてわりとすぐに、船内放送で乗客に上陸の許可がおりたと報告があります。そして、船を降りてみると、港から観光地までの距離が思ったより近いということが分かります。自分なりにその理由を考えたり調べたりしてみましたが、港というのは昔から貿易の中心となる場所だったんですね。港には人が多く出入りしますし、各地から運ばれてきた物資なども集まります。そこで、港が中心となり、人々はお店を開き、商売を始めます。時間が経つにつれてさらにお店が増えて港のまわりは発展し、「港町」として栄えるようになります。人が集まってくると暮らしを便利にしようと、交通網を整える動きも進みます。こうして、バス、電車、タクシーなどの交通手段も発達します。

実際に船を降りて港町を歩いてみると「すぐに観光できる!」と実感します。場所によっては、世界遺産まで徒歩10分圏内なんていうこともあります。徒歩10分とまではいきませんが、例えば、世界遺産の中でもシンボルマークとして有名なギリシャのパルテノン神殿。船を降りると港のすぐ前から出るバスでいけるし、鉄道でも数駅でした。その他の港でも、港のすぐ近くに個人経営のレストランやお土産屋さんが揃っているところが多かったです。全部の港がこのように便がいいわけではありませんが、半数以上の港は船を降りたらすぐに観光と街歩きができて、驚きました。

口コミ~ピースボートの交流ツアー

ベトナムの大交流
私自身はあまり国際交流などに興味はなかったのですが、交流ツアーこそピースボートならでは、ということだったので、いくつかのツアーに参加してみました。ピースボートの交流ツアーに関する口コミがなかなか見つからなかったので、ここで少し紹介します。

なお、交流ツアーに参加する人は何となく限られるな…というのが率直な感想です。「現地の人と交流したい!」という気持ちがある人、それから「体力」がある人にオススメです。

「ベトナムの若者と大交流」というツアーをとったときの話です。

ベトナムの港に船が着岸しました。港をみると、すでに数百人のベトナムの若者たちが集まってくれていました。上陸許可がでたので船からベトナムの地に降り立つと…その瞬間に、ごちゃまぜの大交流が始まりました。ツアー中の交流は、ピースボートの参加者と現地の若者が一対一でペアになります。現地の若者の中には少しの英語や日本語を話せる人もいましたが、ほとんどがベトナム語での会話しかできません。なので、基本的に言葉は通じません。私の相手もベトナム語しか話せませんでした。言葉が通じないので途方に暮れ、わたしは「どうやって交流すればいいのか分からないよ~」という雰囲気をだしまくりました。けれどもベトナムの若者はそんな私の心中などまったく気にせず、わたしの手を引いて街を案内してくれました。

「このお店がベトナムの若者にいま人気の場所!(多分そう言っていた)」というところを紹介してくれたり、街が綺麗に見える場所にバイクでつれていってくれたり、自分の家族の写真を見せてくれたり…。一緒に歌を歌ったり踊ったりもしました。1日という時間ではありましたが、お別れの時には交流相手の子と抱き合い、「世界ウルルン滞在記」的な体験をしたのをいまでも覚えています。感極まって涙ぐんでいるパートナーたちもいました。その後わたしたちが船に乗り込んだあとも、船が港から離れるまでずーっと見送ってくれました。気がつけば自分でも驚くほどにベトナムの若者に対して感情移入していて、その交流相手と過ごした1日を通してベトナムのことが大好きになっていました。たった1日の滞在したが、予想をはるかに超える体験ができて感動しました。

しかし、同じツアーに参加したけれども楽しめなかった人もいました。そういう人たちに話を聞いてみると、「言葉がわからないから交流をあきらめた」、「相手のテンションが高すぎてひいた」と言っていました。

ピースボートの交流ツアーに興味がある人にアドバイスがあります。それは「第三者的にならず自分から積極的に触れ合うこと」です。私も最初は、第三者的というか、お客様的に、どこかで「楽しませてよ」という気持ちでした。けれども、相手が人間である以上、自分も能動的に動く必要があります。そうしてみることで、「ツアーで案内してくれた人」ではなく、「友だち」という関係になれるのだと思います。わたしとしては、こういった交流ツアーには自分の家族写真を持っていくことをオススメします。海外の人たちとの会話では、必ずと言っていいほど家族の話になります。家族の話は親近感もわくのでとてもいいです。自分の家族のことを話すのが嫌などの理由がなければ写真を持っていくと盛り上がること間違いなし。

交流コースではこんなトラブルもある
交流コースに申し込むと、寄港地に着く前に、船の中で参加者を集めて行う分科会というものがあります。準備会のようなものです。この分科会では、交流相手がどのような人たちで、何人くらいが待っているのかなど、現地の情報を事前に教えてもらうことができます。

でも、とあるツアーでは、事前の分科会で、学校の子どもたち50人と出会うと言われていたのに、現地に行ったら10人だったということがあったそうです。子どもたちの先生は人数が減った理由を「インフルエンザが子どもたちの間で流行って学級閉鎖的になってしまったから」と説明してくれました。集まってくれた子どもたち10名は、それでも交流したい(遊びたい)と、自分の意思で来てくれた子たちだったそうです。交流コースは相手があるものなので、こういうトラブルは発生します。建物を見るような観光のツアーとは一味もふた味も違います。臨機応変にトラブルに対応できるような、おおらかな心で挑むことが大切だと思います。相手について事前にイメージを持ちすぎて勝手な期待しすぎてしまうことがないようにすることもポイントです。

口コミ~寄港地を降りずにピースボート船内で過ごす

船内
寄港地で全く船から降りない人がいることを知ると、「世界一周をしているのに船の中にいるなんてもったいない」と思う人がいると思います。私も寄港地で船を一歩も降りない人がちらほらいることがすごく疑問でした。寄港地を楽しむつもりがないのにどうして世界一周をしたのでしょうか。聞いてみると、降りない理由はとてもシンプルでした。

ピースボート船内を楽しみたいから降りない

ある人は、「寄港地を降りないとメリットがあるから」と言っていました。もっと聞いてみると、人が少なくなった静かな船を楽しみたいというのです。寄港地に着くと、当たり前ですが大多数の人たちが観光にでかけます。そうすると船内にはほとんど人がいなくなります。いつもは船内イベントなど使われて賑やかな場所も、とても静かです。寄港地で船に残ると、そのような場所で、なんなら寝そべったりしりながら、読書や趣味に没頭することができるのです。その人にとってはその静かで広い空間を独り占めできるということが、この上ないメリットだということだったのです。そのような人は他にもいるようでした。

地中海など、地域によっては寄港地が毎日のように続くことがあります。そうすると、連日ツアーに参加をしたり自由行動で歩き回ったりしていては、体力がもたず疲れてしまうこともあります。自分が一番興味のある国を存分にまわり満喫できるよう、そのほかの寄港地では無理をせずに船で休んで体力を調整・温存するという人もいました。

少数派ではありますがこんな贅沢な人も…「ヨーロッパは建物がほぼ一緒だから、もうたくさん行ったし船から降りなくてもいい」と。羨ましい限りです。

海外でのピースボートの評価は?デメリットある?

口コミ
ピースボートに乗ってみると分かるのですが、現地の国の主催でフェスティバルが開かれたり、大使館関係者が乗船してきたりすることが何度かあります。

ピースボートステーションのクルーズレポートやその他の資料を参考にして、日本以外では、どのような人たちがピースボートの活動に関わっているのか調べてみました。

カストロ議長(キューバ)

ピースボートが中南米の国・キューバを訪れた時に、歴史の教科書に登場するあのカストロ議長がピースボートの人たちを出迎えたことがあるようです。

オルテガ大統領(ニカラグア)

ピースボートがニカラグアの人たちと一緒にフェスティバルを開催。その場になんと大統領が来てスピーチ。その後も大統領は参加者に交じり気さくに交流していたようです。いきなりすぎて、もはやちょっと意味がわかりません(笑)

プロコピス・パヴロプロス大統領(ギリシャ)

広島・長崎の被爆証言を世界に伝えるプログラムの一環として参加していた被爆者の方たちが、ギリシャの議会に招待され、100人以上の議員に向けて演説をしたとの記録もあります。

ワンガリ・マータイ(ノーベル平和賞受賞者)

環境保護活動家でアフリカ人女性として史上初のノーベル平和賞を受賞した、この方も船にゲストとして乗ったことがあるようです。

ホセ・ムヒカ大統領(ウルグアイ)

『世界でもっとも貧しい大統領』、そして『世界一心の温かい大統領』として有名です。ピースボートのウルグアイ寄港にあわせてサプライズで船にきてくれたことがあるようです。船では講演会も行った様子。
ホセ・ムヒカ大統領

他にも多数いる海外ゲスト

他にもたくさんのゲストがこれまでにピースボートに乗船しています。
マハトマ・ガンジーの孫のエラ・ガンジーさんや、「レゲエミュージックの王様」とも称されるボブ・マーリーの孫娘ドニーシャ・ブレンダーガストさん。また、音楽の教科書には必ずでてくる「パフ」を歌っているフォークグループ「ピーター・ポール&マリー(PP& M)」のピーター・ヤーロウさんも。しかもこれでもごく一部。海外ではピースボートに対する評価は全体的に高いようです。

ピースボートに乗っているその他の有名人についてはコチラ

まとめ

ピースボートステーション
悪評含め、数々の噂のあるピースボート。どんなことをしているのだろうかとピースボートの公式サイトを見ても、海外での活動や交流に関してはあまり書かれていないのが実情です。今回はそのあたりを、自分の体験を踏まえて書いてみました。

自分の行きたいところや見たい世界遺産がはっきりと明確にある人は、バックパックなどの一人旅がオススメだと思います。逆に、普通の旅行では行けないような国や場所を訪れてみたい人にはピースボートはオススメです。

ピースボートの旅の場合は、自分が興味のない国にも行くことになりますし、そういう国のなかには、自分の価値観とは違う場所も多いかもしれません。また、世界遺産などひとつもないような「途上国」にも行くことになります。ただ、海外旅行が好きな人でも、中米の「ベネズエラ」やアフリカの「エリトリア」に行ったことがある人は少ないはずです。あまり聞いたことない国では、現地の人との出会いが楽しめます。驚きをもたらしてくれる国は世界にまだまだたくさんあるはずです。
交流