ピースボートクルーズのメリットとデメリット!乗船者の実態

ピースボートクルーズの特徴

ピースボートのボラスタ
ピースボートで行く世界遺産

ピースボートで約100日間の船旅をすると、平均して20カ国以上を訪れることができます。ピースボートでは、訪れる場所のことを「寄港地」と呼びます。

ピースボートに限らず、世界一周クルーズでは基本的に1つの寄港地の滞在期間は1日から2日程度です。飛行機で海外旅行をする旅慣れた人たちは、現地に1週間ほど滞在して楽しむことが多いです。そのため、寄港地での1日の滞在が短すぎると感じる人もいるかもしれません。

でも、本当に寄港地での1日滞在は短いのでしょうか。私がピースボートで体験した寄港地での様子についてお伝えします。

ゆっくりした移動が魅力のピースボート

そもそも船旅は飛行機に比べると断然ゆっくりでのんびりしています。しかし、そのゆっくりとしたペースこそが船旅の魅力です。ピースボートのパシフィックワールド号だけでなく、他のクルーズ客船も約30km/hのスピードでゆっくりと地球一周をします。

普段の慌ただしい日常から離れて、クルーズでゆっくりと海を眺めるのは格別の感動があります。そのため、多くの船会社(飛鳥2、ダイヤモンド・プリンセス、日本丸、パシフィックビーナスなど)でも、寄港地での滞在時間は1日程度です。

パシフィックワールド号で世界に行くメリット3つ

パシフィックワールド

ピースボートのチャーター船、オーシャンドリーム号で海外に行くメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは、大きく3つのメリットをご紹介します。

荷物が「楽」なメリット
アルゼンチン

世界一周の旅における「荷物の準備・移動が楽」というメリットがあります。オーシャンドリーム号には自分の家となる客室があり、100日の世界一周では荷物が大量に必要になります。

私がピースボートで世界一周クルーズに行った際は、段ボール2つとスーツケース1つを持っていきました。その荷物を自分で運ぶことなく、事前に郵送することができます。横浜港の乗船日には、自分の客室に荷物が届けられていました。

飛行機・クルーズ船で世界を旅する違いとは?
クルーズの食事

ピースボートで世界中を旅して様々な寄港地に降り立つとき、自宅から海外に散歩に出掛けるような感覚になります。重いスーツケースを持ち歩く必要もありません。飛行機の旅では、空港に着くと重い荷物を持ち、税関やパスポートチェックを受けなければなりません。

また、空港は郊外に位置することが多いです。これは、飛行機の滑走路の長さや離着陸の騒音問題のためです。到着した空港からホテルや観光地まで、公共交通機関のバスや電車で約50分、もしくはそれ以上かかります。ホテルにチェックインして体を休め、荷物を置いてから観光に出かけることになります。

一方、ピースボートの船旅では、重い荷物を担ぐことがほぼありません。まとまった荷物を持っていくのは、オーシャンドリーム号から少し離れて旅をする「離脱」の時だけです。

時差が「楽」なメリット

2つ目のメリットは、時差ボケがほぼ生じないことです。船がゆっくり進むため、時差もゆっくりと刻まれます。4日に1度くらいのペースで1時間の時差が発生します。オーシャンドリーム号の船内では、深夜12時になると手元の時計を1時間戻して11時にします。これにより、1日が25時間になる不思議な感覚を味わうことができます。ピースボートではこの「1日25時間」の時差を楽しみにしている人も多いです。

ピースボートクルーズは観光がしやすいというメリット

日付変更線を越えるとき、1日が消滅する体験もできます。これがどういう意味かは、世界一周を終えたときに実感することができるでしょう。この体験もクルーズの醍醐味です。

家庭の事情で帰る

私がピースボートクルーズに乗って良かったと感じるのは、旅が非常にしやすいことです。これが最大のメリットかもしれません。

クルーズ船で外国の港に着岸すると、港から見所である世界遺産や繁華街が非常に近いことが分かります。飛行機の旅では、安全性や騒音問題から空港は郊外に作られるため、移動に余分な時間がかかります。空港からホテル、ホテルから街へと移動する間に、時差ボケも関係して観光時間は限られます。

一方、ピースボートの旅では、余分な移動時間を短縮できます。昔は船が貿易や交通の要だったため、港が栄えていきました。ピースボートで訪れるノルウェーのベルゲン、モンテネグロのコトル、クロアチアのドブロブニクなどの港町も、船が着岸するとすぐに観光地へアクセスできます。

港町はインフラも整っており、交通利用がしやすいです。例えば、ギリシャのアテネ港では、船から降りて15分で世界遺産のパルテノン神殿に到達できます。スペインのサグラダ・ファミリア大聖堂も、港からタクシーで10分、徒歩で30分ほどで行けます。このように、滞在時間が短くても十分に楽しめる充実感が得られるのが、ピースボートクルーズの大きなメリットです。

滞在日数1日から2日は短いのか

寄港地にクルーズ船が着いたら、どのように過ごすかについては、大きく分けて2つの行動パターンがあります。

  1. 「オプショナルツアー」で寄港地を楽しむ
    • このパターンでは、船会社が提供するオプショナルツアーに参加して、寄港地の観光スポットやアクティビティを楽しむことができます。ツアーは事前に予約しておくことが一般的で、ガイド付きで安全に観光を楽しむことができます。
  2. 「自由行動」で、船でできた友だちと楽しむ
    • このパターンでは、自由行動で寄港地を探索します。船で出会った友だちと一緒に観光地を回ったり、地元のレストランやカフェでリラックスしたりすることができます。自由行動では、自分のペースで好きなように過ごすことができるのが魅力です。

どちらの方法を選ぶかは、寄港地での目的や好みによって決めると良いでしょう。

ピースボート【オプショナルツアー】

ピースボートのオプショナルツアーは、ピースボートと提携する旅行会社「ジャパングレイス」が企画したツアープログラムです。各寄港地で、約5〜10種類のオプショナルツアーが用意されており、ツアーの内容は「観光」「交流」「見聞・検証」と多岐にわたります。

英語留学しながらピースボート旅

ピースボート【観光】ツアー
観光のオプショナルツアーでは、様々な世界遺産や絶景、観光名所を訪れることができます。観光スポットを効率よく回りたい方におすすめです。

ピースボート【交流】ツアー
交流ツアーは、ピースボートならではのユニークなプログラムです。現地の人々と交流しながら、街を回ったり、お互いの文化を共有することで、新しい友達を作ることができます。私が参加した交流ツアーでは、ベトナムのダナンで現地の学生と交流しました。学生たちは自分たちで考えた行程で1日を案内してくれ、学生によって行き先が変わるのが魅力です。出会いを楽しむことが「交流」の醍醐味だと思います。他にも、中南米のパナマでは、ジャングルの奥地に住む先住民族の土地を訪問し、一緒に音楽を楽しんだり踊ったりしました。このような体験は、通常の観光では味わえない貴重なものです。交流ツアーは体力と柔軟性が求められるため、若い人に特におすすめします。

ピースボート【見聞・検証】ツアー
「見聞・検証」ツアーは、国際NGOピースボートならではのプログラムです。現地の社会問題や歴史に触れるスタディーツアーで、深い学びと理解を得ることができます。私が経験した見聞・検証ツアーでは、ヨルダンを訪れ、イスラエル・パレスチナ問題について学ぶプログラムに参加しました。パレスチナ難民キャンプを訪れ、現地の家族とホームステイしながら、難民キャンプの暮らしや背景について直接話を聞くことができました。事前に勉強会を行い、現地での理解を深めた上での訪問でした。見聞・検証ツアーは、特に一度は経験してみる価値があるプログラムだと感じました。

ピースボートオプショナルツアーの金額/費用

気になるのは金額や費用ですよね。ピースボートのオプショナルツアーには価格にバラつきがあります。一概には言えませんが、1日の観光ツアーの平均的な価格は約8,000円〜25,000円程度です。

交流ツアーや検証ツアーの場合、15,000円ほどのツアーも多くあります。ただし、船では行けない観光地を訪れる「オーバーランドツアー」も存在します。このツアーは、飛行機やバスなどを利用して数日間ホテルに宿泊するものです。中でも最大級のオーバーランドツアーは、南極に上陸するもので、約100万円以上の費用がかかります。

ピースボート【自由行動】

英語留学

ピースボートが港に着岸してからの行動パターンの一つ「自由行動」について紹介します。オプショナルツアーを取らない寄港地では、必然的に自由行動になります。ピースボートの「自由行動」もまた魅力的です。しかし、「英語がしゃべれない」「初めての外国で不安」「迷ったらどうするの?」「怪しい場所に連れて行かれたら・・・」といった不安が尽きないこともあります。

私自身も、怪しい場所に連れて行かれたり、言葉が通じなかったりしたらどうしようという不安が一番大きかったです。英語圏の寄港地もあれば、スペイン語やポルトガル語など、英語以外が母国語の国も多くあります。しかし、言葉の不安はひとまず忘れても大丈夫だと思います。

私が24カ国中、10ヵ国以上を自由行動で楽しむことができました。正直、英語能力は中学1年生レベルだと思っています(笑)。それでも何とかなったのです。「自由行動」を成功させるコツは愛嬌とジェスチャーです。これで道を尋ねたり、ご飯を注文したりすることができました。初めて「自由行動」をしたときはとても不安でしたが、2つ3つ寄港地を過ぎると「案外いけるじゃん!」と思えてきます。英語やスペイン語を喋れるに越したことはありませんが、語学が不得意でもチャレンジする価値があります。

「自由行動」はピースボートのオプショナルツアーよりも、自分で考え、好きな場所に好きな時間だけ滞在できます。金額もピースボートのオプショナルツアーより格段に安くなります。ピースボートのスタッフは、若者には「自由行動」にチャレンジしてほしいと思っているようです。不安なときは相談してみましょう。過去に訪れたことがあれば、港の情報を教えてくれることもあります。

メリット・デメリットまとめ

ピースボート船上

行く寄港地によっては、ピースボートのオプショナルツアーが特にお得になる場合があります。交通費が高い国では、自由行動が割高になることもあります。そのため、船内にいるピースボートのスタッフに相談してから、どう過ごすかを決めるのも良いでしょう。

船内で知り合った仲間と寄港地を散策するのは、楽しくないわけがありませんよね。ベトナムでは「ピースボートの交流ツアー」、シンガポールでは「自由行動」、ヨルダンでは「スタディーツアー」といったように、バランスよく自分の旅スタイルで楽しんでください。

個人的には、ひとりで寄港地を回る「一人旅」的な経験もお薦めです。これにより、ピースボートの世界一周がさらに学びの多いものになると思います。私は3つの寄港地で一人旅にチャレンジしました。ひとりで寄港地を歩くと、トラブルが続くこともあります。バスの行き先が違ったり、地図が読めなくて迷ったり(笑)。でも、自分で考えて行動することで、自分自身を見つめ直す時間になった気がしています。若者はさまざまなことで迷うこともありますが、自分自身だけの責任で動く寄港地や“初めて”にチャレンジすることで得られるものは計り知れません。失敗を恐れず、何でもチャレンジしてほしいと願っています。

船旅で訪れる1日は短すぎるのか?私の感覚では、船で訪れるには1日から2日が適切だと感じました。旅もしやすく、アレンジも効きます。ピースボートで世界一周し、20ヵ国以上を訪れることで、かなり広い視野を持つことができるでしょう。これからの人生においても貴重な経験となるでしょう。1日が短すぎると思っている方も、滞在日数よりも高い質の旅がピースボートにはあります。